「十割そば」の看板をよく見かけるようになりました。
十割そばは作るのは難しい割には、ぼそぼそでまずい、という声も。
確かに麺はツルツルしてませんし、好んで食べる人はいないんじゃない?
という印象ですが、
近くにある「十割そばのじゅうべえ」という十割そばのセルフそばチェーン店をよく利用しますが、美味しいと個人的には。
ポピュラーな二八そばとどう違うのかなと気になって、「十割そば」のことを詳しく調べてみました。
- 十割そばの読み方
- 十割そばの作り方は難しい?
- 十割そばは「まずい」?「ぼそぼそ」?
- 二八そばと十割そばの違いは?
- 十割そばの特徴
十割そばの読み方
「十割そば」の読み方は、「じゅうわりそば」または「とわりそば」のどちらでもよい。
「アクセント辞典」には、ジューワリソバ、トワリソバ と、ジューワリソバが先に書かれています。
NKHのある番組でのナレーションでは「じゅうわりそば」と言っていました。
手元にある辞書には、十割を「じゅうわり」または「とわり」とふたつ書かれています。
「じゅうわり」と読むことが多いようですが、「とわり」も間違いではないみたいです。
十割そばの作り方は難しい?
「十割そば」はつなぎ(普通は小麦粉)が全く入っていないので、作りにくく切れやすいのでは?
だからつなぎの入った「二八そば」などが主流になっているのでは?
ところが調べていくと「十割そば」作り方はそこまで難しくなさそうです。
というのも、
ソバの実を丸ごと挽いた「全粒粉(ぜんりゅうふん)」の場合、品質の良い蕎麦粉を使えば、小麦粉を混ぜなくても、蕎麦はちゃんとつながります。
蕎麦は小麦粉などのつなぎを使わなくても、蕎麦だけで十分に強い「つながる力」を持っています。「蕎麦だけではつながらない」と言う人がいますが、それは大きな間違いです。
と蕎麦研究科の片山虎之介さん(蕎麦Web編集長)はいいます。
江戸時代はそば粉だけで打った
そば粉だけで打ったそばを「生粉(きこ)打ちの蕎麦」とも言います。
江戸の元禄のころまでは元々10割で打つことが普通でした。
やがて小麦粉のつなぎを入れる方法が考案されたものの、それは庶民的な食べ物という扱い。
高級な蕎麦は10割で打つものとして、長く十割そばは続きます。
今でも「生(き)そば」と暖簾のかかる 蕎麦屋さんは、十割そばを提供しています。
そば処ならではの十割そばの打ち方
また蕎麦処として名の知られた土地がありますが、そこにはその土地ならではの伝統の蕎麦の打ち方が伝わっています。
いわゆる郷土蕎麦の「蕎麦打ち技術」。
これらの多くの地域では、蕎麦を打つ際、昔から小麦粉のつなぎは使いません。
(蕎麦WEBより)
つまり、伝統的に蕎麦を食べる地域では、つなぎを使わない蕎麦の打ち方が受け継がれています。
ということは、難しいという感覚で蕎麦を打っているわけではなさそうです。
ただ、素人が打つ場合は、作りやすい「二八そば」から練習し、慣れてから「十割そば」を打つのが主流のようです。
十割そばは「まずい」「ぼそぼそ」?
そば粉はつなぎがないと、どうしても「ぼそぼそ」して「まずい」と感じやすいです。
ラーメンやスパゲッティのようなツルツル感はないですものね。
小麦粉を2割いれた「二八そば」にすると、とたんに食べやすくなりますし。
だから「ぼそぼそしてまずい」ものに高いお金を払いたくない人は、「二八そば」などを。
自分が美味しいと思うものが正解ですよね。
さきほどのそば情報の「蕎麦Web」さんによると、
十割蕎麦が美味しい理由。それは蕎麦粉の美味しさを、混じりけのない状態で味わうことができるからです。
ですから、美味しい十割蕎麦を作るためには、良質の美味しい蕎麦粉を使うことが重要なのです。質の良くない蕎麦粉で打つ十割蕎麦は、それなりの味にしかなりません。
十割蕎麦の味の良し悪しは、蕎麦粉の質で決まるとさえ言うことができます。
二八そばと十割そばの違いは?
「二八そば」という名称をよく耳にしますが、これは小麦粉が2割でそば粉が8割のそばです。
そして「十割そば」は、粉のすべてがそば粉です。
成分表示で十割そばだけはわかる
スーパーにある乾麺のそばには、成分表には何割が小麦粉で何割がそば粉かは書かれていませんね。
そのため、「信州そば」「戸隠そば」などの名称があっても、それが二八そばかどうまではわかりません。
「十割そば」の場合だけは、「十割そば」という名称とともに、小麦粉の成分表示がないのでわかります。
そばの種類とつなぎの種類
二八そば、十割そばのほかにも、つなぎの割合の違うそばがあります。
九一(くいち)そば | そば粉9、つなぎ1で打ったそば |
外一(そといち)そば | そば粉10、つなぎ1で打ったそば |
七三そば | そば粉7、つなぎ3で打ったそば |
六四そば | そば粉6、つなぎ4で打ったそば |
半々そば | そば粉、つなぎを半々で打ったそば |
たいていはこの割合でつくられていて、一番市場でよく見るのは二八そばでしょう。
そのほか、「9割5分そば」というのれんを掲げたお店もありました。
そば打ちに入れる「つなぎ」
「つなぎ」はそば粉をまとめるために加える材料です。
主に小麦粉が使われますが、山芋や卵を加えることも。
地域によっては、海藻のフノリやオヤマボクチ(山菜のヤマゴボウの一種)の繊維、豆腐などを使用することもあり。
十割そばの特徴
他のそばに比べ、打ちにくい、高いとなると、十割そばはやめておこうか、となりがちです。
「十割」であることの利点をよくよく考えてみると、
- そば粉の割合が多いと栄養価は高くなる(全粒粉ならさらに)
- そばの味と香りが濃くなる
- グルテンがない
お蕎麦が好きな人にとっては、これらの特徴から、十割そばの味と香りがたまらないのでは?
グルテンフリーの十割そば
蕎麦にはグルテンが含まれていません。
また小麦粉のつなぎを使わない十割蕎麦は、グルテンフリーです。
息子が幼いころ小麦アレルギーがあったため、小麦のない十割そばだけは安心して食べられました。
グルテンをさけたい人にとっては、とてもよい食品ですね。
今や十割そばを大量生産する技術もできて、「十割そば」の外食チェーン店もできています。
十割そばじゅうべえ(チェーン店)のお品書き
十割そばのお店「じゅうべえ」さんのお品書きを見ると、十割そばがそんなに高額なものではなくなってきましたね。
例えば、ざるそば(のり、刻みネギつき)は、
- 並 390円
- 大 490円
- 特大 590円
いわゆる大盛りで590円は、お蕎麦やさんとしてはお値打ちですね。
十割そばをお腹いっぱい食べられるとあって、人気を博しているみたいです。
それに「ぼそぼそ」感はそんなに感じず美味しいです。
おそばの美味しさは、
- 挽きたて
- 打ちたて
- ゆでたて
の三つで決まるといいます。
でもお店によって少し置いた方が香味がまとまる、少しねかすくらいがよいなどの考えもあって、必ずしも、挽きたて・打ちたてがよいとは限らないみたいです。
私の個人ブログで、十割そばのじゅうべえさんのメニューなど体験談を書いています。安くて美味しい⇒「十割そばのじゅうべえ・メニュー・求めていた味/安い美味しい(七宝店)」
十割そばは乾麺でも販売されていますから、味見をしてみては。
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