
「タンスに眠っている大切な着物。でも、ハサミを入れる勇気はない……」 そんなお悩みに応えた前回の「切らない羽織のひざ掛け」動画には、
驚くほどたくさんの反響をいただきました。本当にありがとうございます!
「切らない・解かない」という安心感は、着物を愛する私たちにとって、何より大切なハードルだったのだと再確認しました。
そこで今回は、さらに一歩進んで「女性の着物(長着)」を使ったひざ掛けに挑戦しました。
羽織よりも長さがある長着だからこそできる、新しい工夫と魅力がたっぷり詰まっています。
動画の見どころ

◆前回の羽織をひざ掛けにリメイク
1. 「切らない」から、いつでも元に戻せる安心感
今回も、糸を解いたり布を切ったりすることは一切ありません。
「今はひざ掛けとして使いたいけれど、いつかまた着物として袖を通すかも……」そんな想いもまるごと包み込めるリメイクです。
2. 長着(ながぎ)だからこその「圧倒的な暖かさ」

羽織と違って長さがある分、今回は「上に折りたたむ」という工夫を加えました。
その分、布が重なり、厚みが増して、驚くほどポカポカと暖かいひざ掛けに仕上がっています。
重さがあることで、足元に吸い付くような心地よいフィット感が生まれました。
3. インテリアに馴染む「大人のピンク×グレー」

◆グレーのソファーとピンクのひざ掛け(長着からのリメイク)
今回は、紬(つむぎ)の落ち着いたピンク色をチョイス。
都会的な色目のグレーのソファーに合わせてみると、まるで北欧インテリアのような、洗練された「大人可愛い」空間が生まれました。
「着物リメイク=古臭い?」というイメージを覆す、モダンな雰囲気もぜひ映像でチェックしてみてください。
4. 試作を重ねてたどり着いた「畳み方」と「縫い方」

長着ならではの長さをどう収めるか。
試作を繰り返して見つけた、スマートに仕上がる畳み方と、最小限の工程でできる縫い方のポイントを詳しく解説しています。
作り方
<用意するもの>
- 長着(ながぎ・女性用の着物)1枚
- 針・糸・糸切りバサミ・定規
※長着は紬(つむぎ)がよいです。たれものと呼ばれ訪問着や色無地は糸が細くやわらかいので扱いにくいためです。
※長着(ながぎ)は足首まで隠れる丈の長い着物本体のことです。女性用の長着でお試しください。
<作り方>
※今回の長着は、着物丈が約155cm、裄丈が63cm、衿は広衿です。
- 平らな場所に長着を広げて、左右の袖を袖付けから背の方にたおします。そのとき身頃の内側に袖の底がおさまるようにします。
- 左右の肩山と袖山を、端から15cm縫い留めます。
- 内側に向けて、裾を衿のつけてあるところまで折ります。背中心を合わせて身頃の底が水平になるようにします。
- 衿のところの背中心から、左右8cm(衿肩あき)まで、裾を衿付けの内側に沿わせて縫い留めます。
- 広衿をひらいて、衿付け線にそって、身頃を内側に折ります。その時できる衿の底のおさまりがよいようにたたみ、95cmほどにする。仕付け糸をしておくとよい。
- 首のところの衿をかぶせて、背中心から左右8cm縫い留める。
- その横にある衿の角はタックをとるようにして上方向にたたみ、衿の下まで身頃と縫い留める。
- 後ろ側の衿付けと袖の山2枚を、背中心から6cm左右に縫い留める(身頃は縫わない)。
- 袖の底をまつる。
- 全体を落ち着かせるため、身頃を横方向に4か所、粗く縫い留める。また、袖と身頃も一部縫い留める。
- 下から20cmのところに、スナップボタンか羽織紐を縫い付ける。
- 出来上がり、膝にかけるときは、袖を内側にして掛ける。
長着で作るので、裾を折り返しているので生地が重なり、膝もひざ下も羽織のときより厚みがあってさらに暖かいです。
羽織紐はとても丈夫です。羽織紐を結ぶと、ふくらはぎがとても暖かく、足を組んでも裾が乱れることがありません。
紬のふしのある生地はそこにあるだけで、インテリアとしても楽しめるかと思います。
結び

実際の布の質感や、ソファーに置いた時の雰囲気、そして詳しい手順は、ぜひこちらの動画でご覧ください。
「これなら私にもできそう!」「家にあるあの着物でやってみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
古い着物の胴裏の変色、黄色に変色したについて
今回利用した長着は、かなり古い(今から30年くらい前と思われる)もので、身頃や袖の裏地の胴裏全体が、やや濃い黄み、または茶色がかった色へと変わってしまっています。
このような変色が起こる理由として、調べてみまたところ、少し前の時代(現在でも一部に見られますが)の胴裏用生地には、重量感を出す目的で「増量剤」と呼ばれる糊のような成分を染み込ませているものがありました。
そうした生地では、その増量成分が時間の経過とともに強く酸化し、黄ばみを引き起こすことで、結果的に布そのものの色まで変わってしまうそうなのです。
その典型がこの長着の裏地といえます。
八掛は全くきれいな状態なので、胴裏の黄変は、その「増量剤」のせいではと思われます。
着物に使われる絹(シルク)は、一般的に匁(もんめ=重量)が重いほど、糸の密度が高くなり、耐久性や光沢感が増し、高級品として扱われます。
そのため、重量のある着物が、市場では高価とされ取引される傾向にありました。
表生地に影響がでていないので、このままタンスにしまってありますが、胴裏を変えて着用しようかどうかまだ迷っています。
もう派手になってしまったので、今回ひざ掛けにしたあとは、別のリメイク品に作り変えようかとも考えています。



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