
スッキリしたデザインで、私たちの年代でも現代風の感覚でさっそうとはきこなせる、そんな夏のスカートが欲しくて、「絽」の着物から作ってみました。
簡単にしかも見た目がおしゃれなスカートにするにはどうしたらいいかと考えて、ロング丈で素材を「薄物」に。
落ち感や柔らかい足さばき、そして細見えするスカートになりました。
着物の「絽(ろ)」は、通気性を持たせるために細かい隙間(絽目)を規則正しく織り込んだ、夏用の代表的な着物です。
今回は黒い「絽」で5つ紋がはいったもの。紋の模様もポイントの一つとして配置することにしました。
このギャザースカートも、型紙不要、着物の反物幅(約36くらい)をそのまま活かす、和裁の知恵を取り入れた「直線縫いだけ」のスカートです。
スラっと細見え、黒だからいろんなトップスに合う

黒い「絽」の生地を使ったことで、そして少し丈を長めにしたことで、とてもほっそりと見えます。
黒は涼し気に見えるため、和服でもよく夏に着用されます。それに絽目というすきまが開いているので、さらに涼し気、そして風が通り抜けていきます。
こんな素晴らしい素材は洋服にないのでは。
スカートとしてはいてみると、軽くてす~~~っと風が通り抜けていき、暑さ知らずで快適です。
黒いスカートなので、トップスにどんな色のものでも合うというのも大きなポイント。素材によっては、カジュアルにも着こなせる。
出来上がったギャザースカートに、何を合わせようかと考えるのがとても楽しいです。
「たっぷりギャザーなのにスッキリ細見えする」黄金比率のサイズ

着物幅のパーツを「4枚」つなぎ合わせて仕立てます。布を一切無駄にしない直線断ちです。
- 生地幅: 着物の反物幅(約36ほど)をそのまま使用。
- 必要枚数: 4枚(前身頃に2枚、後身頃に2枚)
1枚あたりの長さ(カットする長さ)は完成希望丈 + 10cm、これは、ウエスト三つ折り分 6cm +裾三つ折り分 4cmです。
【計算例】例えば、大人の上品なミモレ~ロング丈である「完成丈 80cm」にしたい場合:80cm + 10cm = 90cm
90cmの長さにカットしたものを4枚用意します(総必要尺:約3.6m)。
※一般的な着物(一反)から十分に余裕を持って作れます。
※ミモレ丈はふくらはぎの中央あたりの丈で着丈70~72前後。マキシ丈は足首が隠れるくらいの丈、その中間がロング丈。
細見えを叶えるデザインのポイント

下半身を細見えさせたい、そのために、こんな点に工夫して仕上げています。
総ゴムなのに腰回りが膨らまない理由
正絹、特に紬地などは「横」に広がりやすいため、ただゴムを通すだけだと腰回りが大きく見えてしまいがちです。
ウエスト部分に、ゴム通し(2段の通り道)を作ります。2cm折ってから4cm折る「三つ折り」にします。
下の段(端から2~3mm)はゴム通し口を2cm残してぐるりと縫い、上の段(そこから1.5cm上)は縫い残しなしでぐるりと1周縫う。
そして下の段にゴムを1本通します
この手順にある「上の段(1.5cm幅)にゴムを通さない」という工夫自体が、実は腰回りをスッキリ見せる最大のおさえ(ボリュームダウン)の役割を果たしてくれます。
ゴムが直接ウエストの一番上を締め付けるのではなく、少し下の位置(2段目)でクッと締まるため、お腹周りがボワッと膨らまずに、絽のしなやかな落ち感が生きてストンと綺麗なシルエットになります。
裾の重みで美しい落ち感を作る
裾の三つ折りを少し太め(2.5~3cm幅)にすることで、裾に適度な重みが生まれ、縦のドレープ(落ち感)が強調されてスッキリしたシルエットになります。
ロング丈のギャザースカート・作り方

今回はできあがりサイズを83cmとして、ウエスト6cm、裾4cmの分を加えて93cmを4枚とりだします。
- 4枚の生地を輪(筒状)にする、絽の透け感を美しく保つため、縫い代は「袋縫い」にするか、着物の耳(端)をそのまま活かしてすっきり仕立てる。耳の場合は片側に倒す。
- 裾(すそ)を三つ折りで始末する、3cmほどの少し太めの三つ折りにすることで、裾に綺麗な重みが生まれ、ストンとした縦のドレープが出ます。1cm、3cmの三つ折りにする。
- ウエストのゴム通し(2段の通り道)を作る。2cm折ってから4cm折る「三つ折り」にします。
- 下の段(端から2~3mm):ゴム通し口を2cm残してぐるりと縫う。
- 上の段(そこから1.5cm上):縫い残しなしでぐるりと1周縫う。
- 下の段にゴムを1本通す、ゴムを通すことで自然と全体に均一なギャザーが寄ります。
- 通し終わったら口を閉じます。
ウエストの上段のフリル部分のメリット
このフリル風のデザインは、見た目が可愛らしいだけでなく、トップスをインした時にウエストの「ゴム感」を上手に隠してくれれます。
そのため大人の着こなしにも嬉しいメリットがあります。正絹の上品な光沢と合わさることで、大人の可愛らしさが引き立ちます。
6月~9月の猛暑におすすめの着物生地

今回は黒い「絽」を使用しました。絽はレースのようにすき間(搦み織り)があるため、通気性が抜群です。大人の贅沢な「透け感スカート」になります。
他にもギャザースカートに向いた着物の生地を紹介します。
1. 【絹】夏御召(なつおめし)
もし「正絹の光沢や上質さにこだわりたい」という場合は、夏用の正絹が一番です。
夏御召(なつおめし): 強撚糸(強くよった糸)を使っているため、生地の表面に細かい凹凸(シボ)があり、汗をかいても肌にペタッと張り付きません。 シャリ感があって非常に涼しいです。
【ポイント】
夏の正絹は透け感があるため、ペチコート(アンダースカート)を1枚穿いていただく必要がありますが、風が抜ける涼しさは格別です。
2. 【麻】本場小千谷ちぢみ(おぢやちぢみ)
大人世代の夏スカートとして、正絹に負けない高級感と圧倒的な涼しさを誇るのが「麻(リネン)」の着物地です。
独特の「シボ(波打つようなシワ)」があるため、肌との間に空気の層ができて抜群に涼しいです。
麻100%の小千谷ちぢみなら、自宅で洗濯機で丸洗いできるのも汗をかく季節には最大のメリットです。洗うほどに柔らかく肌に馴染んでいきます。
3. 【綿】木綿・浴衣地(ゆかたじ)
もっとカジュアルに、デイリーに穿き倒したい!という場合は、上質な浴衣地や、阿波しじら織りなどの木綿がぴったりです。
阿波しじら織: こちらもシボ加工が特徴の木綿で、サラッとした肌触り。お値段もお手頃で、直線縫いがとてもしやすい生地です。
注染(ちゅうせん)の浴衣地: 藍染めなどの古典柄の浴衣地を4枚つなげると、お洒落な和モダン風ロングスカートになります。綿100%で汗をしっかり吸ってくれます。
夏用のギャザースカートの仕立てのコツ

裏地はつけず、ペチコートを別にします。
スカート自体に裏地を縫い付けてしまうと、せっかくの着物幅の通気性が落ち、お洗濯のときも乾きにくくなります。
スカート自体は一重(1枚仕立て)で軽やかに作り、市販の接触冷感ペチコートなどを中に穿くのが一番涼しくてスマートです。
落ち感のある生地なら、丈は少し長めがエレガント
夏御召やしなやかな絹地は、大島紬ほど「横にボワッと広がらない」性質があります。
下にストンと落ちてくれるので、いつもより3~5cmほど長めの丈(足首が見えるくらいのロング丈)にすると、縦長効果が強調されて、さらにスタイルが良く見えます。
コーディネート例・カジュアルとキレイ目(お出かけ)

やや長めのロング丈に、漆黒の絽の透け感、そして3箇所に散りばめられた家紋のスカート。
想像したように、モダンで格好良い雰囲気になったでしょうか。
家紋の位置を計算して配置したことで、世界に一枚の「大人のデザイナーズスカート」になりまいた。^^
1. カジュアル・コーディネート
【テーマ:大人の小粋なデイリースタイル】
上質なスカートをあえて気負わずに普段使いする、こなれた上品カジュアルです。家紋の「和」の要素を、現代の洋服に一番おしゃれに落とし込める組み合わせ。
トップス
サックスブルー(淡い青)またはホワイトの、フレンチスリーブのリネンシャツ。
リネンの洗いざらしたようなナチュラルな質感が、絽の緊張感を程よく和らげてくれます。袖が少し肩にかかるフレンチスリーブは、二の腕をすっきり見せる効果も抜群。
着こなしのコツ
シャツの前裾だけを少しウエストにインして、こだわりのウエストフリルをチラ見せ。後ろの裾は出しておくことで、お尻周りをカバーしつつ、横から見たときもこなれた立体感が出ます。
小物・足元
足元:上質なレザーのトングサンダルや、メッシュのフラットシューズ(黒またはブラウン)で足元に抜け感を出します。
バッグ
大きめのラフィア(カゴ)トートバッグ。
アクセサリー
大ぶりのシルバーのバングルや、一粒パールのピアスなど、シンプルで涼しげなものを。
2. キレイ目(お出かけ)・コーディネート
【テーマ:風を纏う、最高峰のエレガンス】
ホテルでのランチ、観劇、夏の美術館など、少し背筋を伸ばしていきたい場所にぴったりな、クラス感のある装いです。
トップス
ブラックのシフォン、またはとろみのあるテンセル素材の五分袖ブラウス。
スカートと同色の「黒」を合わせるオールブラック(ワントーン)コーデです。
同じ黒でも、トップスにシフォンなどの「透け感・とろみ」がある素材を持ってくることで、スカートの絽の透け感と響き合い、全身がまるで一枚のドレスのような美しい佇まいになります。
五分袖は肘を上品に隠し、腕をほっそり見せてくれます。
着こなしのコツ
ブラウスの裾をすっきりとインして、ウエスト位置を高く見せます。長め丈のスカートから、歩くたびにチラリと見える家紋が、オールブラックの中で最高のアクセント(主役)として引き立ちます。
小物・足元
足元: 少しヒールのあるキレイめのストラップサンダルや、シアー(透け感)素材のパンプス。
バッグ
小ぶりのビーズバッグや、網目の細かい網代編み(あじろあみ)の上品なカゴクラッチバッグ。
アクセサリー:長めの淡水パールネックレスを2連にするか、少しボリュームのあるロングネックレスを。黒一色の着こなしにパールの輝きが加わると、お顔周りが一気に華やかに明るくなります。
まとめと着てみた感想

動画では出来上がったギャザースカートをはいてコーディネートをしています。
トップスをカジュアルな白、カラフルな縞模様、そして絹のグレーと変えてみて、コーディネートの幅が広くて嬉しくなりました。
絹で透ける素材でありながら、気負わずに着用できる着回しのきく一枚になりました。
この夏日本の伝統である「絽」の美しさと、洋服の軽やかさが見事に融合したスカート。
この夏、たくさんの場所に一緒にお出かけできそうで、今からワクワクしています。


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