
皆さま、こんにちは。
先日公開した「ウールの暮らし着」動画に温かい反響をいただき、本当にありがとうございました。
日常の中に着物がある心地よさ、皆さまと分かち合えてホッとしています。
さて、暦はもうすぐ三月。桃の節句が近づいてきました。
今回は、我が家にとっておきの「春の使い」を招いた、ある日のおもてなしの準備をお届けします。
わずか数週間の主役「白地に梅」の帯を切らずに飾る

今回主役になるのは、白地に赤と白の梅が枝ぶりよく咲き誇る、全通の名古屋帯です。
どこをとっても紅白の梅を織りだしている帯です。
梅の帯が一番美しく映えるのは、一月から、ひな祭りを迎える三月上旬までの、ほんの短い期間。
「この時期しか使えないから」と仕舞い込んでしまうのはもったいない。けれど、ハサミを入れるのはまだ惜しい……。
そこで今回は、「帯を切らずに」暮らしを彩る、二つのアイデアを形にしました。
■ 帯を「切らない」リメイク。花瓶とテーブルランナーのしつらえ

帯の手先からくるくると巻いていき、お太鼓の柄を活かしたまま「帯の花瓶」にします。
そこに桃の花を一輪挿せば、座卓の上は一気に春の香りに包まれます。

我が家の座卓は4人がけほどの広さ、限られたスペースだからこそ、贅沢に使いたい。
お客様をお迎えする最初の瞬間は、この帯ランナーを主役にした「目のおもてなし」から始めます。
花瓶にするところには、やはり着物生地を選びました。
目にした人はきっと、「わあっ」と小さな歓声をあげることでしょう。
マジョリカお召で仕立てる、曙色と若草色のマット

お食事が始まったら、主役をバトンタッチ。
ランナーをサッと片付け、代わりに広げるのは、アンティークの「マジョリカお召」からリメイクしたランチョンマットです。

◆しののめ色のマジョリカお召(羽織)
表:曙色(あけぼの色)=しののめい色(東雲色)
銀糸の花菱がキラキラと光を放ち、お祝いの席を華やかかに。
裏:若草色
お食後の抹茶の時間には、裏返して新緑の色を。

この「リバーシブル」の仕掛けが、狭い座卓をドラマチックに変えてくれます。
あけぼの色のやわらかい暖色は、冬から春への橋渡しのように今にふさわしい色ではないでしょうか。
そして 最後は、思い出とともに「壁」へ。
楽しい宴のあと、巻いた手先を巻き戻せば、帯はまた元の姿に戻ります。
でも、そのまま仕舞うのは名残惜しいから……。
最後はそのまま、春を惜しむタペストリーとして壁に飾ることにしました。
「今、この瞬間」しか味わえない梅の美しさを、暮らしの知恵で使い切る。
そんな、少し贅沢で、とても賢いひな祭りの準備風景です。
切るのを迷っている大切な帯がある方、ぜひご覧ください。
あなたの帯に、新しい命が吹き込まれるかもしれません。
帯を切らずにタペストリーにする方法

名古屋帯のお太鼓の部分をたれ先を下でなく上にして飾ります。
すると一番下は、お太鼓と手胴をつなぐ三角の部分が出てきます。
余る手先と胴の帯部分は、裏側に片側に偏らないように糸で留めています。
棒を通せるように糸で留めて、棒の両端に紐をつけ、タペストリーとして飾ります。

どんな帯でもこれでタペストリーになると思いますが、針があたって帯の糸が傷つくかもしれませんので、とても大切な帯には手を付けない方がよいでしょう。


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