
家の中で着るルームコート、防寒になるホームウェアは暖房費の節約にもなり、一枚あるととても便利です。
そのホームウェアを、着物を切らずに、リメイクしています。
和装には「あげ」という、タックのような手法があり、これを活かして着物(長着)を切ることなくリメイクしていきます。
作り方はとても簡単、部屋着ですが、急な来客があっても慌てなくて済む装い方ですよ。
「あげ」について・和装ならではの知恵

子供の着物や浴衣を作る際、サイズを大きめに作って成長に合わせて「あげ」を調整していきます。
子供用には、腰あげと肩あげの2種類があり、最初は大きく上げを取り、成長に合わせてあげの幅を減らしていきます。
また男性の着物にも「あげ」があります。着物を作る時にあらかじめ作っておきます。
男性の着物のあげは、腰のあたりに作っておき、裾が擦り切れた時や長くしたいときの調整用とします。
最初に余分の部分=あげを着物の一部に作っておくことで、着物を長く着る工夫がしてあります。
ホームウェア(部屋着)として着る着丈の長さ

ホームウェアとして日常的に着用するなら着丈は「くるぶしから15cm~20cmほど上の丈(ミディ丈?ロング丈の間)」が最も使いやすく、かつエレガントに見えます。
これは、身長160cmの人で、肩からの総丈で120cm~125cm前後となります。
肩からの総丈で120cm~125cm前後(身長160cmの場合)にする理由
その理由を、実用性と見た目の両面からみてみると、
- 階段での安全面: 家の中には階段の昇り降りや、掃除・料理などの家事があります。くるぶし丈(着物の着付け通りの長さ)だと、階段で裾を踏んでしまったり、裾が床の埃を拾いやすくなったりします。
- 「ガウン」としての軽やかさ: 着物として着る時は床ギリギリが美しいですが、洋風のガウン(羽織り)として着る場合は、少し足首が見えるくらいの方が「ルームウェアとしての抜け感」が出て、重たく見えません。
- 椅子に座った時の収まり: 120cm程度あれば、椅子に座った時もしっかり膝が隠れ、めくれ上がる心配もありません。
「あげ(タック)」をどこでとるといいか

160cmの方の場合、着物の身丈は通常155cm~160cmほどあるはずなので、30cm~40cm分を「あげ」としてつまむことになります。
タックを作る位置: お腹(ウエストライン)より少し上、「アンダーバスト(みぞおち)あたり」でタックを取るのがおすすめです。
その理由は、腰の位置でタックを作ると、帯締めを締めた時に腰回りがモコモコして着太りして見えがちです。
少し高めの位置(ハイウエスト)でタックを作ると、そのもたつきがなく足が長く見えます。
どんな着物を選ぶか

紬、ウール、銘仙のうちから選ぶとよいと思います。
紬(つむぎ) は「上質さ・こなれ感」があります。独特の節(ふし)があり、光沢が抑えられているため、洋服(パジャマや部屋着)の上に着ても浮きません。生地が丈夫で、着れば着るほど体に馴染む「育てるガウン」になることでしょう。
ウール(単衣) は一番のおすすめです。シワになりにくく、程よい厚みがあって暖かいです。虫食いがある古い着物でも、ガウンなら気兼ねなく使えますし、何より自宅でおしゃれ着洗いができる点が強いおすすめポイントです。
銘仙(めいせん) はアンティークな可愛さがあります。柔らかくて軽くい、モダンな柄が多いです。少し派手な柄でも、家の中での「気分を上げる羽織りもの」としては最高に素敵に映ることでしょう。
ホームウェア(ガウン)に向いている「柄」の選び方

「切らない(あげを作る)」という手法を前提にすると、以下の柄が美しく仕上がります。
① 小紋(こもん)・総柄
全体に同じ模様が繰り返されている小紋は、ガウンに最も向いています。
理由: お腹付近で「あげ(タック)」を作っても、柄がズレたり途切れたりしても違和感が出にくいです。
おすすめ: 花柄、幾何学模様、ドット柄など。
② 縞(しま)・格子(こうし)
縦縞やチェック柄は、非常にモダンで「洋風のガウン」に近い雰囲気になります。
理由: 縦のラインが強調されるため、ガウンにした時にスッキリと着痩せして見えます。
③ 江戸小紋(えどこもん)
遠目には無地に見える江戸小紋は、最も「普段着の洋服」に合わせやすいです。
理由: 帯締めやベルトの色をアクセントにして、大人のシックなルームウェアとして演出できます。
避けたほうがよい柄(または注意が必要なもの)は、
絵羽模様(訪問着・付け下げ): 縫い目をまたいで大きな一つの絵になっているものは、「あげ」を作るとせっかくの絵柄が途中でガクンとズレてしまいます。「切らない」リメイクの場合、少し難易度(デザインのバランス取り)が高くなります。
切らずに着物からリメイクでホームウェアを作る作り方

よそ行きだった紬が、こんなに素敵なホームウェアになります!
必要なもの
- ものさし
- 待ち針
- 針と糸、糸切狭
作り方
女性の長着、紬の長着で解説します。(詳しい解説は動画にもあります)身長160cmの場合です。
◆紬の着物のサイズ:身丈:157cm 裄:64.5cm 袖丈47.5cm
必要な総丈(肩山)から裾までを決める、今回は123cmにしました(120~125までの間)
後ろ身頃にある「くりこし」のところまで、肩山からはかり、123cmから引きます。その数値が裾からの長さになります。
- 肩山からくりこしまで=37.5cm
- 裾から85.5cm
裾から85.5cmのところを、くりこしの線に合わせる。すると着物の総丈が123cmになる。(後ろ身頃のみ)
余った部分を裏側にタックをとる。(後ろ身頃のみ)
仕付け糸をしてから、生地に合った色糸で、端から2~3ミリのところを半返し縫いする。
着物を裏に向けて、タックの山に「手のし」をして、端から1cmほどのところを、並ぬいしてから、身頃にたてまつりでまつり付ける。
衿を半分におり、まつる。衿先だけ少し折る。
下前の処理:上の方の衿から続くように、余分を内側に折る
上前の処理:下前と同じようにするが、衿の続きがおくみに続くよう始末する。
下前のあげを、後ろ身頃と同じように、仕付けしてから半返し縫いし、あげ山も後ろ身頃と同じように、タックの山に「手のし」をして、端から1cmほどのところを、並ぬいしてから、身頃にたてまつりでまつり付ける
上前も下前と同じようにする。
以上で総丈が123cmのホームウェアができあがりました。
着物を切らずにリメイク、ホームウェアの装い方

このまま羽織るだけでもよいですが、やはり前の空きはない方が動きやすい。
家のなかでも気分よく装うために
簡単に前空きをとめる方法をいくつか紹介します。
- 縦長のスカーフをウエストに巻いて結ぶ。
- 縦長のスカーフをウエストに巻いて、スカーフリングを使用する(アクセントになる)。
- 帯締めをする(布製の丸ぐけ帯締めを利用しました)。
- カーテンクリップを利用して、三つ編みの紐をつけ、下前の衿から身八ツ口を通して上前に留める。
- ウール素材の場合は、あげのすぐ上かすぐ下のところで、ショールピンをつける。(ショールピンは穴があくことがあり、ウールの着物のときには活用できそう。)針は細いものにし、裏からフェルトなどのあて布をするとよい。
- 羽織紐を右脇と上前のにつけて結ぶ。
「たもと」が家事の妨げに、どうする?

「たもと」が家事などの妨げになるとき、すぐに簡単にできる対処法を紹介します。
- 腰ひもの端を結んで、数字の8にして腕を通す。
- たもとクリップを自作して留める(アンティーク調のカーテンクリップに短い紐をつけて自作しました)
- 着物用のクリップ(ゴムがついている)を使いたもとを袖に留める。
ウールの着物をホームウェアに切らずにリメイクする
紬の着物の次に、ウールの着物をホームウェアにしてみます。
タンスの奥で眠っていた、ちょっと地味かな?と思っていたウール着物、実はガウンに最適なんです!
ウールは暖かいし、家で洗えるから一番実用的ですよ。
作り方は紬の着物の時と手順は同じ。
衿が広い衿でなく、バチ衿なので、そのままでたたみます。
ウールは一枚で厚みがあり、またハリがあります。
針の通りが良いので、絹糸1本どりで、とても縫いやすいです。
紬の着物の時との違いは、あげの山にアイロンをあてた方がおさまりがよいかもしれないという点くらいです。
動画内では、ウールの着物の出来上がりの総丈は、120cmとしました。より活動的に動きやすなるはずです。
ウール着物の場合は、、ショールピンが使えます、前合わせをゆったりと合わせて、あげのすぐ上かすぐ下あたりで留めると、座った時も問題ないです。
地味目のウール着物でもいいですし、私はもう着ないと思う可愛らしい柄のものを選びました。
銘仙の着物をホームウェアに切らずにリメイクする

銘仙の着物には「あげ」がありませんでした。昔の着物は普段用には着やすさを優先してくりこしを付けないことが多かったようです。そのため「あげ」もありません。
前2枚と同じ37.5cmのところに、余分を上げて制作しました。
ポップな柄が気分をおおらかにしてくれます。
軽いですし、着物としてはとても着る勇気がないですが、家のなかでのガウンとしてなら、とても気持ちよく着ていられます。


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